INTERVIEW

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斗々屋がつくる
エシカルなスーパーマーケット

日本初のゼロ・ウェイストなスーパーマーケットを展開し、量り売りの店として知られる〈斗々屋〉。東京・国分寺の〈nue by Totoya〉、京都本店に続いて3店舗めの直営店となる店舗は、フードトラックを利用した初めてのスタイルとなります。その取り組みと今後の展望について、広報担当のノイハウス萌菜さんにうかがいました。

Text:Shiori Fujii

2023.09.21

量り売りから、暮らしと社会を変えていく

「〈斗々屋(ととや)〉の特徴となっている量り売りは、自然とゴミが減る買い物方法です。日本では、普通に買い物をするだけで多くのプラスチックゴミが出てしまうし、必要な量だけ買うことが難しいですよね。量り売りは包装がない分、お得になることもありますし、自分で考える力がつくという利点もあるんですよ。『100gがどのくらいか』とか『今日は1本でいいかな』とか、そういうことを考えずに買い物ができてしまう世の中ですが、自分が本当に必要な量を知ることは大切だと思います。利便性や現在の社会との折り合いも大切にしないと浸透しにくいので、常にハードルを上げすぎないことを考慮してバランスをとっています」

取り扱う商品は、まずは「おいしい」が基準です。ゴミが出なくても、無農薬でも、まずかったら誰も買い続けないですから。ほかにも、「オーガニック」「フェアトレード」「アニマルウェルフェア」を大切にしています。 最初は東京・代々木公園の近くにて週に1度、オーガニックのナッツやドライフルーツなどの30品目を量り売りする『nue by Totoya』から始めました。その後2021年に国分寺へ移転し、200品目を扱う店舗に拡大。そしてより多くの人に頻繁に通っていただくためには、ナッツや穀物、乾物だけでなく、野菜や調味料、洗剤なども揃っている便利さが必要であると考え、同年に念願のスーパーマーケットを京都にオープンしました。加工する施設がなかったため、国分寺店やポップアップでは扱えなかった野菜や卵も販売しています。生鮮食品を扱うとどうしてもロスが出てしまうんですよね。京都では鮮度が落ちる前に加工して、お惣菜として販売・提供しているので、フードロスも限りなくゼロなんです」

代官山で展開する都市型の業態『BIOSK by Totoya』

「〈斗々屋〉では、実は量り売りだけでなく、瓶詰めも多く販売しています。代官山の店舗では、ほとんどの商品がデポジット容器に入っていて、容器を返せばお金も返金。その容器は洗浄後また店頭に並びます。マイ容器に入れれば返却不要でさらに楽ですし、デポジット容器ではない商品はリユースまたはリサイクル、資源回収ができるものになっているので、瓶詰めや容量を選んでいただく方法など、手軽で便利なゼロ・ウェイストを追求していきたいと思っています。それが3店舗目の直営店『BIOSK by Totoya』です。コンセプトは循環型キオスク。近くにお住まいの方が日常的に必要なものを中心に、ふらっと遊びに来た方もお土産代わりに買いたくなるようなものを揃える予定で、オリジナルのグラノーラの量り売りも行います。これまでの店舗のお客さまは当店の理念に共感してのご来店が多いのですが、代官山は、何も知らない方も立ち寄りやすい場所。今まで環境問題などを意識していなかった方が、“おいしい”“可愛い”などのポジティブな印象をきっかけに、環境問題を知るようになるしれない。入り口は広く、ヒントがたくさんあるお店。そんな場所にしたいと思っています」

選択肢の一つとして、日常のなかで必要とされたい

「私たちが考える社会の理想は、それぞれの家の近所に量り売りの店があって、ゼロ・ウェイストが当たり前の世の中。だから、人口の多い都市から発信したいという気持ちがずっとありました。代官山は、多くの人が働いたり訪れたりする場所であり、生活している人も多いということで、望んでいた場所だったんです。今の社会での普通の買い物のなかに私たちの店があって、ちょくちょく通っているうちに気づいたらゴミが出なくなった、気づいたら地球にやさしいものを買うようになっていた、というふうになるといいなと思います。 都会暮らしの方に必要とされている、ミールキットのようなものの販売も考えています。素材が余ったら施設内のカフェで使っていただくとか、フードロスが出ないように進めていけるのも『CIRTY』だからこそ。1企業ができることには限りがありますが、いろいろなお店と連携できたら、新しいことにチャレンジできるかもしれません。どんなことができるか、今からとても楽しみにしています」

ノイハウス 萌菜 Mona Neuhauss

斗々屋にて広報を担当。1992年生まれ。イギリス育ちのドイツ人と日本人のハーフで二児の母。 斗々屋での活動のほか、プラスチックストローの代替品となるステンレスストローブランド「のーぷら No Plastic Japan」の設立ほか、無理なく日常に取り入れられる環境保護活動やそれに繋がる行動を提案し発信している。 サステナビリティに関する活動を行うグローバル企業との連携プロジェクト、コンサルティング、広報を務めるなど、より持続可能で循環型のビジネスやライフスタイルを提案している。

斗々屋 TOTOYA

オーガニック食材やワイン、量り売り什器、エコ雑貨などの輸入、卸、小売等を通し、持続可能な社会の実現に資する取り組みを多数手がけている。京都本店、国分寺店に続き、代官山のCIRTY敷地内に都心だからこそとりいれやすいゼロ・ウエストのニューショップ『BIOSK by Totoya』を展開。https://totoya-zerowaste.com/